ピアノを学ぶ方には『ハノン』『ツェルニー』『ブルグミュラー』の楽譜といえば馴染み深いかと思います。
フルートを学ぶ方には『ケーラー』は馴染み深い楽譜のひとつかと思います。
なかでもエチュードOp.33の1巻はお持ちの方も多く、音大生はまず持っています。
私は高校2年生のときにフルートの先生から勧められ購入しました。

このエチュード(練習曲)では基本的なスケール、アルペジオの指使いに加え、跳躍やアーティキュレーション、ダイナミクス(強弱)の課題に取り組みながらフルートの奏法を学ぶことができます。
さらにフレージングや音色の変化、和声感なども音楽表現には欠かせない部分も知ることができる、そんなエチュードになっています。
私は前述の高校2年から3年にかけて練習し、その後は別のエチュードに進んでからはこのケーラーエチュードOp.33の1巻を開くことはあまりありませんでした。

音大卒業後には社会人になりフルートを吹くのが短くなった時期があり、その時は演奏の調子がどうしても上がらなく、悩んでいました。
そんなときにふと昔を思い出し、このエチュードを吹いてみました。
1曲はそんなに長くないのですが練習テーマが明確で、それをひとつひとつ吹いているうちに自分の演奏を分析しながらどう吹いたらいいかが見えてきました。
それ以来、繰り返しこのエチュードは吹くようになりました。

2年ほど前にフルートを買い換えた際も、このエチュードを繰り返し吹きました。
自分で録音して聴いて、吹いてる時の印象との違いを確かめる、なんてのことにもエチュードを活用しました。

私のレッスンの中では、1曲ごとの課題(テーマ)を考え、どんな練習が必要かを生徒さんに伝えていきます。課題の見つけ方、そしてその解決の方法が学べるこのエチュードはこれからも私自身の練習も含め活用していきたいと思います。